オホンダレと寒ざらし大根

奈良田への移住家族でこしらえたオホンダレ

ハナダンゴは小さいお子さんが制作したそうです


 1月14日は小正月。奈良田集落に残る独特の風習のひとつ、「オホンダレ」を飾る様子を取材しました。
 

ちょっと大きすぎか

一般的には2尺5寸くらいだそうです

 

 オホンダレは、2本用意した適当な太さの生木丸太の木皮を削って目鼻口髭など男女の人の顔を描き、玄関先など人が通るところへ、夫婦として対に飾ります。他地域で呼ばれる「門入道(かどにゅうどう)」のことと考えられ(早川町誌、第12編「社会生活」より)、とすれば、魔除けの意味があるのでしょう。男女それぞれの頭部に、ケズリバナとハナダンゴを備えるのも特徴的です。
 伝統的には、オホンダレ本体とケズリバナには「カツの木」(ヌルデ)、ダンスバナには「ダンスバラ」(リョウブ)を用いるようですが、かつての杣や焼畑のような山に入る暮らしから離れた現代では、近隣で見つけた適当な木を用いるようです。
 オホンダレの本体は前日(1月13日)のうちに準備し、この日の朝、完成させて飾り付けられ、1月20日に取り外します。
 
 寒ざらし大根の制作もおこなわれていたので、合わせて取材しました。

 

庭先準備中

 

大根が煮立つ、いい香り

暖としても、ありがたい

 
 この郷土加工品も、古くから奈良田集落で作られていたそうです。まず、大根の皮を削ぎ、分厚く輪切りにして茹で上げます。奈良田集落には各戸に「イド(井戸)」と呼ばれる3段の水場が設けられており、茹で上げた大根は、この水場に浸します。「寒(寒中)の水」に一昼夜晒すことから「寒ざらし大根」と呼ばれるのだそうです。
 2日目となるこの日は、輪切りの大根を水場からすくい、細竹を串に刺し込んでいきます。これを軒下に並べて吊るし、しばらく凍結と融解を繰り返しながら、ゆっくり乾燥していきます。仕上がったものは夏頃まで持つと言われ、実際に汁物・煮物にして食されます。早川町サポーターのあいだでも人気の高い、知る人ぞ知る食材

 

みんなで分担して共同作業

 

寒中の水にさらします

 
 オホンダレは、町内では奈良田特有のもの。寒ざらし大根の制作も、奈良田集落を含む西山地区だけでおこなわれていたもので、どちらも早川流域の各集落と、他所の地域とのつながり、交流を考える上でも興味深いものです。
 また、どちらも集落の景観を明るくします。大根を吊るす作業をしていれば、通りかかった住民が声をかける。「おー、やってるなぁ」「今年はちょっと少なくしたから、18(個ずつ吊るすこと)にしてるダヨ」と活気ある大きな声が行き交います。

 

縄に白紐を通して固定するのは

一人作業をおこなう上での工夫

 
 そして、取材をさせてもらったMさんが、大根を竹串に刺し込む作業をしながら放った「こういうのは、面白いんだ! 旬だから食べたい、ということではなくてね、毎年やるのがいいんだ。一昨年はこうだった、去年はこうしたってね、ワタシゃずっと記録付けてる」、この言葉が印象的でした。自家用の分を、習いながら一緒に作っていた移住家族のUさんが「寒ざらしは作業の一つひとつが単純で、成長の具合に応じた手伝いが出来て、子ども一緒にできる。みんなでやると楽しい」とも言っていました。
 山のリズムというものは、言うなれば、大きなサイクルと小さなサイクルの繰り返しであって、だからこそ、携わる人の成長が感じられ、作法としての発達に面白みがある。伝統というのは、こういう楽しさの中で引き継がれるのかもしれません。

 

干し上がり

鳥獣被害のための防護ネットも準備

 

 今年は暖冬傾向と言われていますが、さて、寒ざらし大根はうまく仕上がるでしょうか。

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